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最高裁判所第三小法廷 昭和26年(れ)681号 判決

本籍

朝鮮慶尚北道義城郡丹密面龍谷洞一二八八番地

住居

名古屋市瑞穂区井戸田町二丁目二四四番地

日傭

金本兼一こと

金演球

昭和七年一月二八日生

右の者に対する強姦致傷被告事件について昭和二六年二月一二日名古屋高等裁判所の言渡した判決に対し、被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人大久保兤の上告趣意は、末尾に添えた別紙書面記載のとおりであつて、これに対し、当裁判所は次ぎのように判断する。

原判決は本件につき昭和二三年法律一六八号少年法(以下単に少年法と称する)五二条を適用した趣旨であると認められること、所論のとおりである。しかし、論旨引用に係る当裁判所の判例は、大正一一年法律四二号少年法(以下旧少年法と称する)八条を適用しても、少年法五二条を適用しても、判決に影響を及ぼさない事案につき言渡された判決である。しかるに原判決は旧少年法一条によれば少年でないが、少年法二条、六八条一項によれば少年である被告人に対し言渡されたものである。従つて、右判例は本件に適切でない。そして、本件のような事案については、少年法五二条の適用があると解すべきものであることは、当裁判所判例の趣旨とするところであつて(昭和二六年(あ)一二四一号同年八月一七日第二小法廷判決、昭和二六年(あ)第三〇六五同年九月一一日第三小法廷判決各参照)、原判決はこれと同趣旨に出でているのであるから、同判決を目して所論のような違法があるということは出来ない。

よつて、刑訴施行法三条の二刑訴四〇八条に従い、裁判官全員の一致した意見により、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島保)

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